Scansnap ix500を手に入れてから1+2年間自炊を続けて得たKnow-how(その後)

2年ほど前に書いたこの記事へたくさんのアクセスをいただきとても感謝しています。

Scansnap ix500を手に入れてから1年間自炊を続けて得たKnow-how

あれから2年。現在の状況と、考え方の変化について再度まとめてみようと思う。

自炊ブームはすでに過ぎ去ったような印象を受けるが、この行為は一時的なトレンドではない。時代の変化だ。

僕個人のライフスタイルや心理的な変化をうまく読み取って自炊生活に生かしていただきたい。

ちなみに現時点でのスキャン枚数は2年で3万枚弱追加して8万枚弱。

PFUさん。ローラーのダメージがそこそこなのでScanAidください。お願いします。

↓このモデルは安価だがAcrobatはついていないので注意。

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まず最初にユーザー的観点で一番気になるのは、現時点でどのスキャナを買えばいいのかということであると思う。

フィード式のスキャナという括りで断言する。

「安心してください。(2年たった今でも)ix500ですよ」

1.記事を書く以前の心理的状況

スキャナに関しては以前の記事を見てもらうとして、今回はその心境の変化と、以前と変わった部分について書くことにする。

心境としては引っ越してからしばらく経ち、落ち着いたころに家の中に本棚がないことに気付いたという感じ。

当時、自分の中では蔵書が一覧できて簡単に取り出せるよりも、CDやDVD,BD等の動画コンテンツやデジタルデータをすぐ見られる方が重要だったので、部屋の壁際には本棚ではなくCD,DVDラックを並べていた。頭の中では完全にデータ容量に対する体積で物事を判断する現実主義な判断をしており、CD-Rのデータは数枚まとめてDVD-Rへ、DVD-RのデータはBD-Rへと枚数を削減、かつメディアの経年劣化対策でデータをまとめたりしていた。

これはデジタルデータの話だが本もまた然りで、大切な本は現物で保存しておくに限るが、ただ見返せればいい、古本で再入手するのが容易ということが分かっているのであれば本もデジタル化してしまうのが得策だと今でも思っている。個人的には技術書、月刊誌などがこの類に入る。数年経つと内容に価値が無くなる類の本は積極的にやってもダメージはないはずだ。

今でもこの心理は大きくは変わっていない。物を保管するということはその保管という行為に対して家賃というコストを消費していることと変わらないからだ。

CD,DVDのプラスチックケースを以下のようなソフトケースに変えるだけで2~3倍のメディアを収納できるようになる。おすすめ。付属の帯もすべてしまっておける。

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2.自炊をする人としない人の理解の違い

スキャナの話、自炊の話をしていて周りの人に言われることが2点ほどある。

A. スキャナはコピーにしか使わないから必要ない

B. 電子書籍は読みにくいし、本は紙(現物)で読まないと読んだ気がしない

ぶっちゃけて言えば、スキャナというのはその程度にしか使わないものなので大体当たっていると思うし、僕もそう思っている。コピーにしか使わないというのはその通りで、自炊する人も自炊以外にはコピーにしか使わない。だってそういう機械だから。

家にFAXがあるのにわざわざ頑張ってパソコンからFAXするとか面倒なことをしない限り、スキャナはコピーくらいにしか使えない。別にお金をコピーすれば増えるわけでもないし(やっちゃダメです)。

電子書籍は読みにくいというのも同意。電子書籍は本じゃないんだから読みにくい(慣れてない)に決まってる。読んだ気がしたかしないかは個人的な感覚なのでとやかく言わないが、そういう本はちゃんと本で読んだほうがいいし、僕個人としても保管は現物だ。そんなことを言っている人たちも、スマホでブログを見るのは抵抗がない。自炊してほしいのはそういう中途半端な部分だということ。

書籍  :  必要なもの(保管)>ちょっと重要(自炊)>いらないもの(捨てる)

ネット  :  Web魚拓サービス> ブックマーク   >内容のないサイトは通り過ぎて終了

こんな感じ。感覚としてはブラウザのブックマークに似ているのかもしれない。

ここで言っておきたいのは、自炊はマンガを違法コピーするための道具でもなければ、デジタルオタクが何でも電子化したいという勢いでやっている無駄な行為でもないということ。うまく使ってやればとても便利な道具だということだ。

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3.自炊に向いているコンテンツ

何でもかんでも自炊すればいいというものではない。それこそ時間の無駄だ。自炊化して便利になる物に共通するのはこれだ。

A.検索できるようになることで見る頻度が上がる、楽になるもの

B.いざというときに見たいもの

C.文字数、ページ数が多いもの(目次が覚えられないもの)

D.どんどん溜まるもの

この分野に興味がないと一番気づきにくいのがA、OCRによるメタデータ化だ。スキャナで文章を取り込むと、精度が100%でないもののパソコン上で文字列検索ができるようになる。例えば辞書のようなものだと目的のページにひとっ飛びなので、どの本の何ページ目に書いてあるという検討をつける手間が省け、複数の本から同じ単語を横断的に検索できるようになる。これは本を捨てない場合にもおすすめの方法だ。図書館の書籍検索の豪華版という感じ。

Bは最近思うようになってきたことだ。スマホやタブレットの普及により、ストレージと液晶を常に持ち歩く時代になった。常に携帯しているデバイスの中に自炊した書籍を忍ばせておくだけでいざというときに役に立つ。旅行に行けば数十冊のガイドブックがポケットの中に収まるし、突然の待ち時間に呼んでいなかった本の続きを読むなんてことも。

Cについては恩師からの受け売りだが、「本は全てを理解しようとせずにまずは目次を覚えよ」ということ。すべてを覚えることに苦労するよりも、いざその知識が必要になったときに、どの本のどの場所に書いてあったかを思い出せればそれでいいという考え方だ。古い言い方をすれば広く浅く、今風に言えば知識のインデックスを作るという感じだろうか。

Dについては単純に保管場所の問題になるかもしれないが、月刊誌のようにどんどん溜まるが読むのがついていかないというような場合に自炊しておけばという提案。読まずに捨ているのもいいが、一時的なバッファとして、自炊して持ち歩けばいつかは読むでしょ的発想だ。

今まで自分が自炊してきてよかったと思うコンテンツは大体このどれかに当てはまる。

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4.実際に自炊しているもの

記事を書いた当時はADF付きのまともなスキャナを使ったことがなく、完全な電子化に踏み切れていないこともあったため、家の中にある読まなさそうな本を徹底的に電子化した。ページ数だけでいえば実用書、技術書の類が大半だが、実際に電子化して便利になっているものは以下のもの。あくまでも利便性の順だ。

1.名刺(原本は保管)

2.年賀はがき(一昨年以前、かつやり取りの最後から2枚目以前のものを電子化して廃棄)

3.レシート(申告や証明に必要のないものを家計簿代わりに)

4.契約書(原本は保管)

5.月刊誌、技術書

急に現実的になってしまって申し訳ないがこんな感じだ。堂々1位の名刺はとにかく便利だ。(月額費用が上がったが、利便性はピカイチだ)Evernoteに名刺の両面PDFをアップするだけで検索できるようになる。社名、苗字などどこか一部が思い出せれば引き出せるのでズボラにはうってつけの方法だ。

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2位の年賀はがき、これもおすすめ。年賀状というものは正直捨てにくい。自分に孫がいるような歳にでもなれば年賀状集めそのものが趣味になりそうな気もするが、知り合いの写真をごみに捨てるというのは抵抗がある。そんなときはデジタル化したという保険に入った状態で堂々と捨てることができるようになる。また、履歴管理上も便利で、今までちまちまエクセル管理していたものを現物で確認できるように。

3位のレシートは気休めの意味合いが大きいかもしれない。個人的にレシートを受け取らないという選択肢がないので、持って帰ったレシートのやり場に困る。このレシートをとりあえずスキャンという作戦だ。僕は1ヶ月分のレシートをとりあえずため込むという方法を取っているが、あとあと役に立つことが年に数回ある。レシートには、”いつ”、”どこで”、”何を”、”いくらで”買ったかという記録が残るのだが、これが位置情報としてのライフログにもなるのだ。台湾などはレシートの内容をQRコードで読めるようになっているのだが、日本もこれを早く見習ってもらいたい。

4位の契約書もインデックス目的だ。契約書などは形状や大きさ、はがきや紙など代書様々で管理しにくいものが多い。クリアファイルに入れるのもいいが、何冊あるんだって話になることもしばしば。こんなものに関しては何年の何月という単位でまとめてしまってそのインデックスをパソコンの中に作るといい。いざというときは画面上で内容を確認し、原本が必要であればその原本を取り出せばいいのだから。

5位の月刊誌、技術書が一番のスキャン枚数稼ぎかもしれない。モノクロのページしかない本や、カラーの写真入りページがふんだんに使われた雑誌など種類は様々だが、取っておくほどでもないし、取っておくと補完が大変というものについては積極的に電子化してから捨てるようにしている。

ちなみにこれらの利便性を手に入れるための近道は、Acrobat Readerではなく、ちゃんとした編集機能を持ったAcrobatを手に入れることだ。スキャナによる利便性向上5割、Acrobatによる電子ファイル管理の利便性向上5割りという感じだ。PFUの現行品にはAcrobatはついていないので注意。

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5.電子化した書籍をどうするか

これについても以前の考え方と大きな違いはない。ただ、周辺環境が整ってきているのは確かだ。

個人的には

A.クラウドストレージの普及

B.クラウドストレージ機能付きのNASの普及

C.高解像度液晶付き端末の普及

このあたりの環境が容易に構築できるようになっていることが大きい。クラウドストレージであれば、月額費用さえ支払えばすぐにでも使える。DropboxやGoogleDrive、OneDrive等が選択肢になるだろう。ただし、自炊したファイルの中身には著作権が存在するため、あくまでも私的利用の範囲にとどめる必要があり、他人との共有などはしてはいけない。

昨今のNASの普及も自炊ユーザーには追い風だ。一昔前までは外付けHDDが一般的だったものが、HDDを家庭内で共有するという概念に変わった。最近ではそれをさらにインターネットまで拡張し、外出先から自宅のHDDにあるデータをいとも簡単に参照できるようになった。

これは、クラウド上に自分専用の巨大なデーターベースがあるのと同義で、電子書籍はもちろん、写真やビデオなど、デジタルデータであれば何でもいつでもどこでも見ることができるようになる。まさに革命だ。

最近はうちの親もようやくクラウドの便利さに気付いたらしい。NASを使ったことのない人は一度試してほしい。

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ほかにも、自分専用のサーバにクラウドストレージを構築するという方法もある。以前書いた記事でいうとこれ、ownCloudでAndroidの写真を自動バックアップ

自分でサーバーを立てなくても、最近は月額数百円で借りることができる。うちみたいに停電が多い地域ならなおさら借りたほうがいいかも。僕の中ではさくらに絶大な信頼を置いている。

Cの高解像度液晶も自炊には好都合の技術進化だ。スキャナで取り込んだ解像度を十二分に発揮することができ、細かい部分も鮮明だ。以前、記事を書いたころはNexus7などが主流の時代で、それなりの解像度のタブレットを買おうと思うと3万円以上は出さないといけなかったが、最近では1万円程度でもフルHD以上の液晶を搭載したタブレットが手に入る。

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6.まとめ

改めて自炊について書いてみたが、ここ2年間で自分の考え方に対しての変化はあまりない。変化がないということが果たして正解だから変化がないのか、重大な問題に気づいていないだけなのかは分からないが、少なくとも、手持ちのデバイスをうまく使うだけで自炊したデータを簡単に閲覧する環境は整ってきている感じだ。

最近はとにかくタブレットが安い。1万円切りでフルHDの解像度があれば自炊には十分なので、たとえ動画が快適に再生できないとしてもそれなりにメリットが出てくる。車のドアポケットに忍ばせておいたり、リビングやベッドに点在させたりとスマホとは違った電子書籍の活用の方法がある。

スキャンするという行為は最初は面倒だが、結局はルーティーンだ。一度やり方さえ決まってしまえばそこまで複雑な作業でもない。こんな僕でも数年間継続して出来ているし、スキャナも意外と耐久性があるのでコストパフォーマンスはそこまで悪くない。これからどんな活用法が出てくるかどうかは想像もできないが、自分の保存しておきたかったものが場所を取らずに保管できる。

これがデジタル化の最大のメリットでもあるので、まだスキャナーを使ったことのない人は写真でもいいし、漫画でもいい。一度自分が好きなコンテンツを取り込んでみて自炊の奥深さを体感してみてほしい。

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