最近バタバタしていてあまり面白いことをやっていなかったので、前からちょっとは試してあきらめていたKerf bendig(Dukta)をやってみる。
Kerf bendingとは、木材に切込みを入れることで通常は曲げることのできない木材に柔軟性や伸縮性を与える技術のこと。
実際には単純なことなのだが、実際にやってみると切断距離が非常に長く煙も出るのでちょっと抵抗があった。昨年末からそれなりに排気できるようになり、レーザーカットに抵抗がなくなったので試してみた次第。
今回は、実用性をかねて紙コップホルダーを作ってみることにする。
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Woodworking in Action!: The Bridle Joint, Kerf Cut Bending, Inside Story Oarmaking, the Bow Maker Graham Blackburn Popular Woodworking Books |
とりあえず紙コップの外周に巻ける形状を目指してみる。ネットを調べるとベンディングのサンプルは転がっているが、実際にやってみるとどの程度曲がるか知りたかったので一度自分の基準で。
今回はいつものシナベニヤ合板の3mmを使って試してみることにするが、いつも作っているものの強度を考えて簡単には割れない(折れない)4mm程度を基準にスタート。交互になるように切込みを入れる。帯の高さはコップの高さ以下になるように、幅は多少の伸縮があることを期待してざっくりコップの外周の長さに。
いきなり失敗作で申し訳ないのだが、ご想像通りこれではだめだった。ちょっとしか曲がらない。実際にちょっと力を加えてみるとこんな感じ。
実際に曲げれるのはこのレベル。合板そのままの状態と比べれば遥かに曲がりやすくはなっているが・・・・
ということで、このピッチではだめだということになった。ここで重要なのは、実際には切り込みの幅ではなくつながっている部分の面積と切り込みの数だということ。曲げたい範囲の中に曲げたい方向の切込みがどれだけ入っているかが鍵っぽい。
とはいえ、その分強度が落ちるので簡単に細かく切るわけにはいかない。次は2.5mm幅で。
とりあえず形を保っているということは成功か?と思いきや。
紙コップのRには達せず。しかもちょっと割れた。これはもうガッツりいくしかない。ピッチを1.5mmにして、さらに切り込み間の繋がっている幅を少しだけ詰めた。
キター。これならいけそう。何とか円になる感じに曲げることができた。
ちなみに切り込み方向ではない方向への柔軟性がどのくらいあるかというと。
切り込み方向はというと。
柔軟性は十分だと思う。ただ、繰り返し曲げたときにどの程度の強度があるかはわからないのと、引っ張り強度はあまりないということ。150mm程度の長さだが伸長方向は5mm~7mm程度。カットの仕方次第ではある。
ということで、環状に繋げられるように引っかかり部を取り付け、さらに取っ手をはめ込むような切込みをつける。
写真からみてちょっと残念なのは焦げ後が汚いということ。普段から合板の表面にはマスキングテープを張りヤニ汚れを防ぐように努力はしているのだが、この1.5mmの幅だとマスキングの隙間に染み出してしまうようだ。
とりあえず目的のカップホルダーはできた。実際に使ってみてもそこまですぐ壊れそうな感じはないのでしばらく使ってみることにする。
Kerf bendingは面白い手法なのでいろいろ試してみたいが強度の問題がある以上、実際に使えるシチュエーションがぱっと思いつかないのが難点。ただ、今まで木材には切削でしかつけることのできなかったRを簡単に実現できるというメリットはある。たとえば何かの開閉機構のある蓋や楕円状の容器。ひねりを加えたものなど創作系のものには向いていそう。
あと加工に時間がかかるのも難点だ。面積に対する加工密度が高いので、大きなものを作るとなるとそれなり二時間がかかる。まぁ放置しておくだけなんだけど。そのうちなにか一品作ってみようかな。
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