レーザー加工機を改造する(4.レーザー光路の調整)

レーザー加工機の改造の件の続きです。

実は年初早々にレーザー管を破損するという大事件が起きていたので何もできなかったというのが本音。

逆にいえば心機一転、今まで気になっていたところを洗い出すいい機会でもある。

今回はソフトのことはちょっと置いておいてキャリブレーションの話。

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1. レーザー管の破損

とりあえず、壊れたレーザー管を置き換えることに。レーザー管が壊れたと判断するに至った症状は

① 通電ボタンを押すといつもと同じ様に音だけが聞こえるがレーザーは出ていない

② レーザー以外はすべて正常動作するので電源は壊れていないだろう

まぁこのくらい。必要十分だと思う。ただ、今回は自分がショートさせた張本人だという自覚があるのでこういう判断をしたが、もし、原因が分からない、知らない間に壊れていたという人は要注意。その原因を取り除いておかないと買い替えてもまたすぐ壊れることになるので。

ということで中国に発注したら3週間近くかかったが無事届いた。荷物も箱が大きく凹むようなことがなければ大丈夫そうなくらいちゃんと梱包されていた。

半年ぶりくらいに背面を開けてみる。自慢できるくらい超汚い。コーキング材の汚れ方を見る限り、やはり排気系がいい加減だった時の汚れがひどい。逆にちゃんと排気をするようになってからはそこまで汚れていないようだ。

本当は別室にして中をうまく分けたいところだけど、レーザーが通る場所を塞ぐわけにはいかない。吸気で風の流れをうまく作るしかないな。

IMG_20170125_200148.jpg

レーザー管は今回も電源に合わせて40Wにした。50,60Wに交換する案も考えたが、長くなるレーザー管と机に相談したら許可が下りなかった。ただ、700mmと書かれていた仕様だけで購入したレーザー管だが、元のレーザー管と比較してもなぜかちょっとだけ長い。

IMG_20170125_201346.jpg

冷却水の取り回し方がちょっとだけ違うようだ。ただ、端子、水冷の入出力配置はほぼ同じなので簡単に置き換えられる。

チューブは付属のものが細すぎて使い物にならなかったので在庫を使用した。

配線については、もともとは端子に配線を巻き付け→適当なシリコンチューブをかぶせる→コーキング材で固める

という流れだったのであえて踏襲することにした。みの虫クリップでもいいかとも思ったが水漏れが怖い。

以上、レーザー管の交換しかしていないが素直に直った。ということで犯人はレーザー管に決まり。時間があるときにクリーニングして、どのあたりが壊れているのか確認したいと思う。

2. 調整

購入当初はレーザー加工機の実力が分からなかったので探り探りの運用だったが、今回はざっくり40Wレーザー加工機の実力は前提知識としてある。以前から気になっていた項目についてちょっと考えてみることにする。

①レーザーが弱いような気がする(110V仕様であるという確信が持てずに今日に至る)

110V仕様は確信に変わった。(ので40W x 100/110の性能は出ているはず。)一時期よく切れていた記憶があるのでその時と同じポテンシャルを(新しいレーザー管に変えた)今なら(確実に)引き出せるはず。

⑥レーザー経路の最終段、集光レンズがむき出しなので彫刻、カット対象の煙が直撃してレーザー強度が落ちる

レーザーヘッドを取り付けてエアーでアシストするようになったので集光レンズから先の煙の影響は最小限のはず。

こんな状況なので、40Wレーザー加工機としてのポテンシャルを確実に引き出せるのは今しかないという感じだろうか。

光路の調整に関しては他のブログなどでも書いている方が多いのでそれを参考に。コツとしては

①レーザー管、X-Yテーブルがちゃんと水平、平行に設置できているかどうかを確認する。

②レーザー管に近い側の反射鏡から順番に合わせていくことと、無理やり合わせるのではなく平行、垂直を意識すること。

個人的には、次のミラーの中心を狙うという調整ではなく、テーブル上の近いところ、遠いところで同じ位置になるように光軸を調整した後、その中心にミラーを並行移動させるといった感じ。これを繰り返していくほうが手戻りがないと思う。

で、ざっくり調整が済むとレーザーヘッドもしくは集光レンズからレーザーが出るようになる。たぶん好奇心からレーザーが出るようになると何かを切りたくなってそのままにしてしまいがち。実はここからが肝だ。レーザー管のポテンシャルはここからの作業で引き出せる量が変わる。

第1、第2ミラーは単に反射させているだけなので、逆に言えば汚れておらず、反射さえしていれば性能には影響しないということになる。

まずは第3ミラーから先の構造を確認。ミラーで水平に移動してきたレーザー光を垂直方向に変換し、集光レンズを通した後、切断、彫刻対象に向かう。集光レンズの種類にもよるが、中華レーザー加工機で多いのは彫刻も切断もやりやすい2インチのレンズを使ったものが多い。

LaserHead-Construction.png

2インチのレンズはスペック上、スポット系は0.127mmくらいで焦点距離が50.8mm、焦点の深度が±2.54mm程度となる。

ということは、レンズがむき出しのタイプであれば対象物を、レーザーヘッドの場合はノズルを上下させる必要があるのだが、まずは切断対象がこの範囲に入っているかどうかが肝だ。上記スペックの場合は集光レンズから50.8mmの位置に材料の中心が来ており、かつ材料は厚さ5.08mm程度でないときれいに切れないということになる。

X-Yテーブルを自由に動かして、切断対象とレンズの距離がどこでも一定であるというのが最初の条件になる。これができていないと切れる場所と切れない場所が出てきたりするので注意。

次に、これができていたとしても強弱に影響が出るのが集光レンズの位置だ。起こりうる可能性としては次の2パターン。

①集光レンズに対して斜めに導光している場合

②集光レンズの中心からオフセットした状態で導光している場合

パッと見では分かりにくいので直すのが大変なのだが、ここが切断に対して大きく影響を与えるといっていい。

レンズの中心にうまく導光できているかどうかはレーザーパワーを最小限に絞った状態で焦げ跡をよく観察することだ。

特に、ノズルがついている場合はノズル内の内壁でレーザーの一部が反射してしまっている可能性もある。どちらの場合も焦げ跡をよく見るとレーザー光の形状が確認できるはずだ。うまくレンズの中心を通っていれば、(真円ではない)レーザー光が集光レンズによって綺麗で小さな点になっているはずだ。大きく焦げて分からないという場合は出力が絞り足りないか、焦点があっていないかのどちらか。

ノズル内で反射をしている場合やまっすぐ導光できていない場合は画像の様にレーザースポットが欠けたり複数点になることがある。確認方法としては、横方向に動かしたときと縦方向に動かしたときの切断幅が同じかどうかで確認することもできる。

また、ノズルが樹脂の場合は溶けるほど高温になる場合もあるので注意。一度ノズル周囲の温度を測ってみるのも手。

Laser-example.png

3. テスト

調整の段階で、適当にレーザーが出るようになった時と、そのあとちゃんと調整した時点で結果を見比べてみるとこんな感じ。

厚さは違えど左側の2個が調整前、右の2個が調整後の切断面。かなり違うことが分かるはず。レーザーは出力が大きくなればなるほど見た目が悪くなる傾向があるので、最適な条件でできるだけパワーを絞ったほうが見た目がよくなる。

左は頑張って切ったという感じで、表面が発泡してしまっているのと比べ、右の2個はつるっと溶けたような切断面。焦点があってないので温度が全然違うんだろうな。

IMG_20170128_134529.jpg

加工条件についても載せようかなと思ってはいるのだが、あまり安定した条件が定義できないのでちょっと悩んでいる。

2017年は心機一転で0から計測し直してという感じ。

ちなみに、ネット上でベニヤ板が切れないと言っている人が多いが、たぶん心材がラワンのシナベニヤのことを言ってるのだと思う。同じベニヤでも共芯ベニヤだと結構簡単に切れるので。40Wならラワンも切れるのだが、繊維方向が一定でないので一発で抜けるような条件で切ると断面周辺が真っ黒焦げになってしまう。

そんな感じで2017年のレーザー加工は再始動。時代は〇削!らしいのでそっちにも早く手を出したい。

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