うちにはMICRO FACTORYのPRN3Dがある。
RepRap系ではそこそこイケてる当たり機だと思うが、やはりそれなりに改造しないと造形が良くなっていかないのも事実。個人的な自作機について語ってもあまり需要がなさそうなので、PRN3Dをベースに、うちではどうしているのかを書いてみようと思う。
3Dプリンタで作った部品を使って3Dプリンタを改造するときは心を決めてとりかかろう。後戻りはできないので。
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XYZプリンティングジャパン ダヴィンチ 3D ペン 3N10XXJP00B Not Machine Specific XYZプリンティングジャパン |
まず、3Dプリンタについてだがメーカーから発売されているものにも大きく分けて2種類のものがある。
内部構造やソフトウェアが完全独自開発、設計のものと、RepRapといわれる、オープンソース、オープンハードウェアを使ったものだ。
ユーザーからしてみれば、3Dプリントさえ出来てしまえばどちらでもいいのだが、改造やアップデートまで考えるとRepRap系が有利だ。
基本的な構造が同じなので、簡単にソフトの変更やハードの変更で機能を追加できるというメリットがある。PRN3DもそのRepRap系に属するものなので、パーツやソフト(ファームウェア)のデータが開示されていて、壊れた部品などは自分で作ることができるようになっている。(正確には壊れる前に出力しておく必要がある)
PRN3Dは導入して2年経つが、細かい点で気になるところが出てきたのでこれを機にリニューアルをしてみようと思った。デルタ型でいいだろって考え方もあるが、何台あっても損はないし、改造するのも楽しいよね。
1. PRN3Dの基本スペック
まず仕様から(当時の)特徴といえばキットとしては比較的低価格、比較的大きめの造形サイズ、ヒーテッドベッド標準装備、(謳い文句上)積層ピッチ0.05mmといったところ。まぁ確かに数値的には魅力的。これだけみれば別に今でもそこまで劣っている部分はなさそう。
当時は、構造上ベッド周りが開けているのでメンテナンスがやりやすそうというイメージがあった。
造形サイズ(mm) |
w170 x d170 x h160 |
フィラメント |
1.75mm PLA , ABS |
最小積層ピッチ |
0.05mm (50μm) |
ノズル径 |
0.4mm |
ヒーテッドベッド |
標準装備 |
インターフェース |
RepRap gen6準拠 |
電源 (ACアダプター付属) |
DC12V / 120W |
本体大きさ(cm) |
w42 x d25 x h32 |
2. 不満点
で、実際に使ってみると出てくる不満はこんな感じ。(あくまでも主観なので人によりけり、3Dプリンタなんてどれもこんなもんでしょ)
A. ヒーテッドベッドの加熱が遅い。(印刷までに時間がかかる)
B. ヒーテッドベッドの温度が上がらない(性能上の限界で70°程度までしか上がらず、ABSにはあまり効果がない)
C. 造形テーブル(ヒーテッドベッド)が前後にぐらぐらする(Y軸の剛性がない)
D. いろんなところのパーツの剛性がない(歪む、割れるなど)ので、せっかく3Dプリンタを買ったのに印刷するのは3Dプリンタの予備部品
E. フィラメントの挿抜が大変(エクストルーダーの穴が目視しにくい場所にある)
F. 出力精度に対する不満
G. (剛性の問題で)さっきは綺麗に出たのに今度は失敗なんてことが絶えない
まぁ無事に組み立てられてここまで来れる人ならこんなもんだが、ミニ四駆感覚で買うとえらいことになるという感じ。
3. 改善点
現時点で、必要に迫られて変更している点は以下の項目
A.B. ヒーテッドベッドの回路変更、24V化
やり方は異なるが、やっていることは大体同じ。ノートPC用のACアダプタを使う。制御ボードと電源を分けるため、ヒーテッドベッドの出力を家に転がっていた秋月のソリッド・ステート・リレー(SSR)キットにぶち込むことで解決。12V並列を24V直列にすることで110°くらいまでは普通に上がるようになっている。ただし、以下Cの改造をしていること前提。ベッドの熱でベッドを支えるパーツが溶ける恐れがある。 PRN3D ヒートベッド110℃対応について(外部20V電源化) [PRN3D]
C. 造形テーブル(ヒーテッドベッド)の剛性の強化
ちょっと高いと思ったが、SUSのフレームを使ってX-Yテーブル用のフレームを追加。この時、ヒーテッドベッドはX-Y軸を交換し横向きに。参考ブログはこちら。PRN3D Perfect Y AXIS [PRN3D]
D. 全体的な剛性のなさ
Y軸の強化以外にも本体にゴム足を追加する。補強パーツを入れるなど、部品をかなり変更している。
現時点で、購入時点で装着されているパーツはほぼすべて再出力品に置き換わってしまっており、耐熱の関係、剛性(柔軟性)の観点で、ABSに置き換えている部分も多い。
いろんな方のいろんな改造なので機能が被ったり、自分の改造と干渉したりと課題も多いが工夫のし甲斐がある部分だ。
E. 現時点で解決方法なし(抜本的に改善、交換が必要)
F. 出力精度を改善するためのパーツ交換
ベアリングなどを交換するのはもちろんだが、最大の課題はZ軸の積層痕だ。改造前はこんな感じ。
寸切りボルトのネジ痕がそのまま出ている感じ(上下するときにX-Y方向に揺れている)。原因としてはモーター軸とネジの接続部(カップリング)の軸ズレ、Z軸の歪みによるブレ、ガイドの位置ずれによるブレなど様々な要因があり得る。
G. 剛性等による問題で、毎回同じ結果が得られない
これだけは3Dプリントパーツなど、樹脂を使っている以上しかたがないものでもある。印刷毎にベッドから印刷物を引き剥がすときにも大きな力が加わるため、剥がす前と剥がした後のテーブルも高さが0.1mm単位でズレることは十分ありえる。
で、このように自分でできる範囲の改善をしてきたのだが、今年に入って、同じくMicroFactoryからAサイズに対応したPRN3D-A4が登場した。すべてがベストではないが、改善したかった部分が改善されている部分も多い。
今回は、これらの課題を解決すべく、マザーボード(RAMPS1.4)を汎用品に交換し、LCDパネルによるスタンドアローン動作と、ベッドの高さを自動で調整する(厳密にはベッドに対するホットエンドの高さ)機能を取り言えることをとりあえずの目標とする。
缶詰の中の缶切り的な要素も多いので後戻りができなくなる可能性もある。注意をしながら作業を進めていきたい。
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Kuman Arduinoに交換 3D プリンター キット RAMPS 1.4 コントローラ +Arduino Mega2560 R3互換ボード+A4988 ドライバ +LCD12864 モジュール Arduino Mega 2560 Uno R3とArduino Reprapに適用 K17 Kuman |
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