プロクソンのサーキュラーソーを改造して無段階変速&フットペダル対応にする

2016/02/03 プロクソンのミニサーキュラーソーテーブル(旧型)に集塵機能を追加する を追加しました。

基板やアクリルをまっすぐカットするために今まではPPカッターなどを使っていたが、まっすぐは切れても断面が綺麗じゃないので断面を整形するのがちょっと面倒だと思っていた。

ここ最近、基板を大量にカットしなければならない状況がありしかも小さい基板なのでPPカッターでは結構切るのが大変。そこで普段から使える卓上サーキュラーソーを購入することにした。

プロクソン(PROXXON) スーパーサーキュラーソーテーブル NO.28070
プロクソン(PROXXON) スーパーサーキュラーソーテーブル NO.28070

機種選定

まずは、機種選定から。候補はプロクソン(PROXXON)とホーザン(HOZAN)の2社。

両者ともどちらかのOEMだろうというくらいそっくりな機種が新型、旧型ともに2機種、さらにPROXXONには溝切りや斜め切りできる上位機種が1機種ある。現行品は以下の2機種。細かいところに差異があり、HOZANの方には横方向に可動式のスケールが付いているのと、集塵口が空いており掃除機などのノズルを取り付けることができるオプションがある。値段は実売価格でPROXXONが1万円強に対し、HOZANは約2万円だ。

PROXXONの斜め切りできる上位機種は実売価格で3万円ほど。価格面ではPROXXONに気持ちが動く。毎日使うようであれば集塵できるのが理想だが、どうせある程度は飛び散るので汚れる場所では使えないので結局は同じという感じ。

以下比較表(2015/12/12時点)

メーカー
HOZAN
HOZAN
PROXXON
PROXXON
PROXXON
機種
PCBカッター
K-111
PCBカッター
K-110(生産完了品)
ミニサーキュラソウ
テーブルEX  No.27006 
ミニサーキュラソウテーブル(生産完了品)
No.28006 
スーパーサーキュラソウ
テーブル No.28070
電源
AC100V 50/60Hz
AC100V 50/60Hz
100V 50/60Hz
100V 50/60Hz
100V 50/60Hz
消費電力
80W
80W
80W
80W
200W
回転数
3,500,minˉ¹(回 ⁄ 分)
3,500,minˉ¹(回 ⁄ 分)
3,500,minˉ¹(回 ⁄ 分)
3,500,minˉ¹(回 ⁄ 分)
3,500~6,000minˉ¹(回 ⁄ 分)
スピードコントロール付
寸法
250(W)×
125(H)×
190(D)mm
245(W)×
100(H)×
185(D)mm
247(W)×
124(H)×
186(D)mm
245(W)×
100(H)×
185(D)mm
300(W)×
170(H)×
260(D)mm
作業用補助テーブルが横に200mm伸長
切断能力
紙フェノール2mm,
ガラスエポキシ3mm,
セラミック,鉄板(非熱処理)1mm,
アルミ板(純アルミ系)2mm,
アクリル板,木材(軟質)2mm
紙フェノール2mm,
ガラスエポキシ3mm,
セラミック,鉄板(非熱処理)1mm,
アルミ板(純アルミ系)2mm,
アクリル板,木材(軟質)2mm
固い木5mmまで
柔らかい木10mmまで
別売の丸鋸刃でプリント基板なども切断可能
固い木5mmまで
柔らかい木10mmまで
別売の丸鋸刃でプリント基板なども切断可能
ブレードの角度0~45度
ブレードの高さ
0~26mm
(φ85mmブレード 0度時)
0~19mm
(φ85mmブレード 45度時)
切断厚さ
φ50mm刃:~2mm
φ60mm刃:~3mm
φ50mm刃:~2mm
φ60mm刃:~3mm
φ50mm刃:~8mm
φ58mm刃:~10mm
φ50mm刃:~8mm
φ58mm刃:~10mm
φ85mm刃:26mmまで
重量
2.0kg
1.7kg
2kg
1.7kg
5.8kg
定格使用時間
15分
15分
15分
15分
15分
実売価格
19560円
21425円
10865円
11900円
31798円

スーパーサーキュラソウテーブルが溝切り、斜め切りができる時点で圧勝だが値段も高い。逆にPROXXON、HOZANは新旧の性能差はほとんどない感じ(集塵口くらい?)HOZANを買うなら新型、PROXXONなら安い方という感じか。

プロクソン(PROXXON) ミニサーキュラソウEX NO.27006 プロクソン(PROXXON) ミニサーキュラソウEX NO.27006

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HOZAN PCBカッター K-111 HOZAN PCBカッター K-111

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こんな感じなので、HOZAN,PROXXONの安い方4機種からの選択という感じになりそうだが、今回は事前知識もあったので、あえてPROXXONの旧型”ミニサーキュラソウテーブル(生産完了品)No.28006″を選択した。一緒に基板カットに使うダイヤモンドブレードも購入。

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で、ここからが本題。

不満点の改造

まずこの改造前提で入るのが間違っているのかもしれないが、安く便利に使えるに越したことはない。追加したい機能は以下の2点。

速度の無断階変速機能

– スイッチのON/OFFだけでは回転が速すぎ、材料によっては溶ける感じになる。色んな意味で速度は買えられると便利

– 最低速度ではモーターが止まってくれると更に便利かも

フットスイッチによるON/OFF機能

– 本体スイッチも活かし、かつフットスイッチを接続した時のみフットスイッチで、接続していない時は本体スイッチのみで動作

こんな感じの環境を作るために、以下の材料を準備する。

秋月電子

C-06765 6.3mmステレオジャック パネル絶縁型スイッチ付 MJ-189LP フットスイッチ接続に使用

K-00818 トライアック万能調光器キット(40Aタイプ) 無段階変速に使用

K-02436 ソリッド・ステート・リレー(SSR)キット 40Aタイプ フットスイッチによる電源制御に使用

その他部品


・100Vを5Vに変換するUSB充電器。小さくないと本体に内蔵できないのでできるだけ小さいやつを。0.5A品でいい。100均でも買える。

iPhone充電器 キューブボディ スマートフォン/iPod/iPhone用CUBE型AC充電器 iPhone充電器 キューブボディ スマートフォン/iPod/iPhone用CUBE型AC充電器

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・YAMAHA フットスイッチ FC5 うちにはたまたまシンセサイザーで使っていたのがあったのでこれを選んだ。5Vのスイッチができれば何でも可。プラグのサイズを上記秋月のものと合わせること。

YAMAHA フットスイッチ FC5 YAMAHA フットスイッチ FC5
Not Machine Specific

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改造のポイント

・穴を開けた事後の写真で申し訳ないが、フロント、スイッチの左横に、実は可変抵抗取り付け用の穴が開いている。四角い記号は多少ずれてはいるが、結局はボリュームノブ裏に隠れるので多少ずれても問題なし。

とりあえずここに穴を開け、シールをめくり上げるきっかけを作る。

P_20151211_165500.jpg

このシールはそのまま使うので、破らないようにめくり上げると背面に穴と空間がある。この穴は、可変抵抗の差し込み穴、可変抵抗のツメの引っかかりを作る縦穴で構成されており、秋月の調光器キットの可変抵抗がしっかりハマる。また、このシール裏の空間にナットを取り付けることで締め込んだあとも盛り上がることなく元に戻すことができる。

P_20151211_165834.jpg

あえて生産完了品を買う利点はぶっちゃけここだけ。実際には上記部品を以下の様な配線で本体内に押し込む。

Proxxon-custom.png

回路構成だけを見ると少し複雑に見えるかもしれないが、やっていることは至って簡単。まずはサーキュラーソー本体の主電源スイッチの後段を分岐し、一方はUSB充電アダプタに接続する。これは、フットスイッチで100VのON/OFFを切り替えるためだ。もちろん、フットスイッチそのものに100V対応のものを用意すればこんなものは必要ないのだが、今回はフットスイッチを着脱できるようにしたかったので5V系で構成した。

USB充電アダプタは単にスイッチのON/OFFが検出できればいいので大電流のものである必要はない。本体内に収めるためできるだけ小型のものを用意した方がいい。この5V出力とフットスイッチ接続用の標準フォンジャック、ソリッドステート・リレーキットの信号入力に直列接続する。フォンジャックにはスイッチ付きのものを使用し、フォンプラグが差し込まれていない時にも短絡するように配線する。こうすることで主電源がONになっている時には常に5Vが通電、フットスイッチが挿入されているときはフットスイッチのON/OFFで5Vの通電が切り替わるようになる。

あとは100V系の配線だが、シンプルにスイッチからモーター、調光器キット、ソリッドステートリレーキット、電源と直列に繋げばいい。これで、スイッチ、ソリッドスレートリレーの両方がONになっている時のみ調光器キットの可変抵抗によってモーターの速度を可変できる回路になる。

フォンジャックの取り付け位置だが、迷った挙句ラベル直下に設置することにした。まぁ本体内には結構空間があるので付けたい場所に穴を開ければいいという感じ。

P_20151211_221245.jpg

中身は汚いのであまり見せたくはないが、100Vの大電流を扱うのでちゃんと絶縁すること。実際には電源スイッチ部の配線がめちゃくちゃ細かったので逆に不安になったくらいだが。本体を裏返すと出っ張ったソーガイドが地面に当たりうまく固定できないので下に馬を噛ませるなどの工夫が必要。

モーター周りも温度が上がると思うので被覆が溶けないように注意。調光器キットの基板は空間内にギリギリ収まるという感じなのでうまく配線して回路を配置できるようにケーブル長は考えながら作ったほうがいい。

P_20151211_184742.jpg

可変抵抗部の取り付けはこんな感じ。ラベルの矩形と位置が多少ずれるのは、本体の穴位置とラベルの印刷がずれているため。

先人に習い回転数を表記したラベルを貼り付ければいい感じになりそう。

P_20151211_221223.jpg

まとめ

今回は改造の仕方がメインになってしまったが、個人的にはそれなりに使える道具という印象だ。改造したおかげで材料が溶けるようなこともなくなり、両手で材料を抑えながらの切断が可能になった。ただ、斜め切りのガイドに遊びがあったり、スケールの位置が多少ずれている感じがあるなど詰めが甘い気もするのも確か。他に選択肢がないので、精密な加工をするためには改造や工夫をして使っていく必要がある。思っていたよりもコンパクトなので卓上で軽く使える感じなのはいい。アクリル加工は極力避けてきたが、これからは積極的に使っていこうと思う。

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